☆前十字靱帯断裂

体重の過負荷や運動の過負荷などにより突発的に前十字靱帯が部分的あるいは完全に断裂することを言います。
靱帯で起こった痛みは経過が長く、跛行を繰り返します。
また、靱帯が断裂している状況下で長く経過すると、慢性の関節炎へと移行し、跛行が続くようになります。

<診断>

診察室内では膝関節の入念な触診、各種跛行診断で仮診断を行います.
また、レントゲン検査において、ファットサインやドロウアーサインと言われる画像的特徴を確認し、診断を下します。


       (正常画像)
レントゲン写真:通常の膝関節の稼動以上に前方へ下腿骨が滑る現象をドロウアーサインと言います。

ただし、レントゲン画像には靭帯は映らないため、靱帯が確実に切れているかあるいは部分的な断裂のみか、靱帯の伸長が起きているかは外科的に膝関節を開けて視認することになります。

<処置>

体重の軽い小型犬や手術に重大なリスクを伴う犬(老齢性・心疾患を持っているなど)では患趾をテーピング固定することで、関節炎を予防することは可能ですが、完治とはなりません。
体重15kg以下の犬では関節外法と呼ばれる人工の靱帯を膝関節の外に設置する方法を行います。これは、膝の裏の両サイドに存在する種子骨と下腿骨の脛骨粗面と呼ばれる部位を人工靱帯でつなぐ手術です。この手術を行うことにより、関節の外になりますが、通常の前十字靱帯と似た形で膝関節を保持することができるため、関節内での異常な稼動領域を抑え、関節炎を予防する形となります。
また、中型犬以上では人工靱帯の設置では強度が弱く、人工靱帯も断裂してしまう可能性がある為、TTAといわれる特殊な器具を使用した手法を行います。
この手法は理学的観点に立った手法で、関節の力学的な状況を正常近くに補正する手術となります。
なお、前十字靱帯の整復術に関しては、現在さまざまな手法が開発されており、病院または獣医師により手術方法が変化する場合もあります。

<経過および予後>

術後は比較的良好です。


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