健康管理と予防、基礎知識について

  ペットとして人と暮らしてる動物たちは、情報の多様化による予防医学の普及、食事内容の改善、環境などの外的要因からのストレスの減少などにより、平均して長寿傾向にあります。代わりに肥満、代謝疾患、関節疾患、腫瘍、歯科などの病気による来院が増加しているように思われます。ここでは、一般的に必要な知識とともにペットの現代病の予防、対処についてふれていきます。
また、
訪問者の要望により、トピックスを更新する予定です。掲示板をご利用ください。

◆食事の管理        ◆ノミ・マダニの予防       ◆肥満について

◆ワクチン接種       ◆避妊・去勢について

◆フィラリア予防       ◆歯の手入れについて


食事の管理
 現在では、ドライ、缶様々なタイプのペットフードが各社から発売されており、ペットコーナーで見ても迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?また、保存料も気になるところです。
一般的には栄養のバランスの完全にとれた、総合栄養食を与えている方が多いと思われますが、一番重要なのはその子に合った
栄養のバランスを満たしているかどうか、おいしく食べられるかどうかになります。
まずは、かかりつけの先生に年齢、栄養状態、運動量、皮膚や便の状態などを判断してもらい適切な製品、給餌量などをアドバイスしてもらうと安心です。
 総合栄養食で完全なバランスの食事を食べていて、ある時お肉などを加えてお腹をこわすことがあります。これは、高蛋白の成分が腸内細菌の偏った増殖をひきおこす為、細菌性腸炎になった結果です。総合栄養食とはそれ自体、完全なバランスを持っているため何かを付け加えるとかえって逆効果になる事があります。また、究極の理想食は保存料や添加物を一切含まない自家製の食事となります、これはペットと飼い主の満足度は高く、食事性アレルギーや不耐等に対応可能です。ただし、内容成分のバランスなど一般的には難しいチャレンジなので獣医師と相談の上で実行することをお勧めします。

Q:おやつはどんな物がいいか?

 しつけ等のときに常用するもので、最も良いものは普段食べている、フードといえます。これであれば栄養のバランスをくずす事も無く、ペットの嗜好性に影響を与えることがありません。高蛋白なものやあまりおいしい物、人の食卓のものは与えないほうが無難です、せっかくの総合栄養食がどんどん味気ないものに感じてしまうからです。肥満の原因にもなります。我々と同じように時にはと思うかもしれませんが、ペットたちはそれを毎回待つようになります。食卓のものをもらった経験の無い子は、カフェに連れて行ってもおとなしくできます。


ワクチン接種
犬 ・ 5種混合ワクチン(イヌのジステンパー、パルボ、伝染性肝炎、アデノウィルス2型、パラインフルエンザ)
   ・ 8種混合ワクチン(上記に加え、コロナウィルス、レプトスピラ2種)
   ・ 狂犬病ワクチン
猫 ・ 3種混合ワクチン(猫ウィルス性鼻気管炎、猫カリシウィルス感染症、猫パルボ感染症)
   ・ 猫白血病ウィルスワクチン
フェレット:ジステンパーワクチン

Q:仔犬のワクチンは初年度何回接種すれば良いか?

 これには母犬のワクチン暦、初乳を飲んでいるかどうか、親元からいつ離れたのか?が関係してきます。
一般的には、十分な抗体を持っている母犬から産まれた子は、生後二ヶ月まで
移行抗体により、ウィルス性伝染病から防御され、その頃に1回目のワクチン接種を受け、1ヵ月後に2回目を接種します。母子免疫が不完全と考えられる場合や早期に親元を離れているケースでは生後45日頃に一回目のワクチンを受けているケースもあります。そういった場合は計三回の接種が必要となります。いずれにしても、仔犬のプロフィールに合ったワクチンプログラムを獣医師に相談することをお勧めします。                     

Q:猫の白血病ワクチンは接種したほうが良いか?

A:もし外に頻繁に外出するのであれば、接種をお勧めします。室内飼いで他の猫との接触が無い場合については、私はお勧めしていません。猫白血病ウイルスの伝染は、体液を介する接触、ケンカ、交尾などです。それらを避ける生活をすることがより望まれます。

フィラリアの予防
 都内では
5月〜11月下旬まで、(可能であれば通年)1月1回の予防薬を体重に応じて飲みます。
現在では数種類の予防薬が用意されていますが(シンプルにフィラリアのみ予防のもの、おやつタイプで線虫の駆虫効果のあるもの、ノミや寄生虫をすべて同時に駆虫できるもの)、獣医師と相談の上その子に一番合った予防薬を選択しましょう。
予防の休薬期間のある場合はシーズンの初めに
血液検査が必要です(フィラリア陽性の子に投薬するとショック症状を起こします)。

ノミ、マダニの予防
 公園や河川などに散歩に出かける子には特に必要になります。ノミの唾液が吸血の際に皮膚に触れただけで起こる、ノミアレルギー性皮膚炎やサナダムシ(瓜実条虫)の媒介も防ぐことができます。

現在、特に有効なものとして首筋に滴下するスポットタイプのものをお勧めします。

避妊去勢について
 まずは
子供をとるかどうか家族の意見としてまとまっているかどうかが重要です。もし少しでも悩んでいるのであれば、獣医師やブリーダーなどに相談してよく検討することをお勧めします。ながく飼っていると、どうしてもその子の子供が見たくなったりします。子供をとらない事が決定しているのであれば、睾丸『精操』摘出、卵巣子宮全摘出を受けることにより。様々な病気の予防が可能となります。去勢のメリットは、精巣にまつわる腫瘍、前立腺肥大、肛門周囲腺の腫瘍、会陰ヘルニアなどの予防です。避妊のメリットは初回発情前に行うことで乳腺腫瘍の発生をほぼ100%予防する事ができ、その後発情をむかえる度に予防率は下がると言われています。また子宮蓄膿症、子宮内膜炎、卵巣子宮の腫瘍などの予防、発情、避妊の回避ができます。
 また男の子で
睾丸が始めから無い、あるいは片方だけの場合は高齢になる前に、獣医師に相談することをお勧めします。女の子で発情が定期的でなくなった、発情後2ヶ月くらいで、多飲多尿だったり、食欲の低下があれば早めに獣医師に相談することをお勧めします。


歯の手入れについて
 歯に関しては、まず生後7ヶ月齢までには乳歯が抜け落ち、永久歯が生えてきます。この頃に先生に口腔をチェックしてもらうことが重要で、もしそれ以後も乳歯が遺残してしまうと歯並びが悪くなり、咬合不全、歯石などの原因となるため早期にかかりつけの先生に相談する必要があります。
 永久歯が生えそろう頃には、少しづつ歯磨きの練習をします、指の周りにガーゼを巻き食後に犬歯や奥歯(臼歯)をかるくこすることから始めます。嫌がるときは指だけで少しづつ慣らし、終了後おやつを与えます(いつものドッグフードでOK)。慣れてきたら犬、猫用の歯ブラシや酵素入りの歯磨き粉を使用して毎食後に行います。(ヒト用の歯磨き粉はお腹をこわすので使用できません)
 歯磨きがどうしてもできないケースなどは、歯磨き用のガムなどが有効です。どのような方法、アイテムがその子に適しているか、病院の先生に相談してからスタートすると確実です。
 一般的に缶タイプや人の食事、料理した食事を食べている子はドライフードを食べている子に比較して歯石は付きやすくなります。
 歯石が付いてしまった子は、ほっておくと
歯肉炎、歯槽膿漏、歯根炎へと進み、口臭がします。ひどいケースでは歯根部の膿が鼻腔や眼の下の皮膚に開口漏出し、飲み薬だけでは必ず再発する病気になってしまいます。また歯石の中のバイ菌がリンパや血液に進入し腎臓、肝臓、心臓に悪影響をおよぼすため定期的に必要な処置を病院でしてもらうと良いでしょう。
    

肥満について
 ペットの肥満は一見かわいらしいのですが、代謝障害や皮膚炎の原因になったり、心臓病、関節疾患を悪化させたり、様々な治療を難しくしてしまいます。出来ることなら今のうちに改善しておきたいものです。
 動物が必要以上に太っているかどうかの目安は体重ではなく、常に骨格に対する栄養状態で把握します。
仔犬や仔猫で食後に、腹部が張っているのは正常で、太っているわけではありません。この種類でメスなのにこの体重は太りすぎか?という基準もありません。わかり易いのは肋骨周囲を触ってみて以下の判定をしてみて下さい。
*ゴツゴツすぐに肋骨や背骨が触れるようであれば痩せすぎ。
*ほとんど触れないようであれば太りすぎ。
*適度に皮下脂肪を通して肋骨、背骨が触れるのが理想的。

私の診ているケースでは成長期で痩せていたり、中、高齢の子で肥満傾向が多いように思えます。
 肥満の原因と考えられるのは、室内飼育の増加、年齢による運動量の低下、嗜好性とカロリーの高い食事内容やおやつの給餌、生活面でのストレスの減少、避妊去勢、などが挙げられます。つまり犬や猫、ウサギやプレーリードッグなどの本来の生活からすれば、人と楽しく安心した生活を送る上では、摂食するカロリーに対して消費カロリーが極端に少なくなりやすいのです。一日1時間の散歩でも、それ以外の時間を寝て過ごすしかなかったり、食事のカロリーが上回れば結果として肥満傾向になるといえます。もし上記で思い当たることがあれば病院の先生と相談の上、生活の改善、適切なダイエットプログラムを組む事をお勧めします。
(特に猫のダイエットには必ず主治医と相談してください)

Q:避妊や去勢するとふとる?

 卵巣や精巣から分泌されるホルモンにはわずかながら食欲を抑える作用があります。避妊や去勢により、卵巣や精巣を摘出するとホルモン分泌がなくなり、食欲の増加に応じて食事量を増やすと結果的に太ってしまいます。
 また絶食時のカロリー代謝も下がると考えられており、それに対しても食事量、運動量の調整が必要な事があります。


 
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